40歳のヌバックシューズ
その前は、親父の足に20年。もう40歳か。すごいなぁ。
譲り受けて以来、一番のお気に入り。
10代の頃からほぼ毎週履いていた。
そのぶん定期的にブラッシングして、
靴底はもうかれこれ3回は変えている。

大事に履いてるつもりでも、さすがに小傷はちょこちょこ。
満員電車で、踏まれてしまうこともしばしばだものね。
踵の革が破けてしまって、駆け込んだ駅ナカのリペアサービスに修理を断られたこともあったなぁ。
どうしても捨てられなくて、セメダインとガチャベルトで自分で修理した。
リペア&クリーニングに出すと、職人さんにびっくりされたよね。
「40年モノですか!? 綺麗に履いていますね」って。
嬉しかったなぁ。
先日実家に履いていったら、親父に
「まだ履いてんのか!」とあきれ半分に言われたね。
嬉しかったなぁ。
ヌバック君。
君は、ぼくのことをなんでも知っている。
楽しかったことも、恥ずかしいような青春も、
挫折も、奥さんとの出会いと結婚、我が子が生まれてきたときのことも。
1人の男に家族ができていくのを見ていたわけだ。
親父の足にいた頃も含めたら、ぼくが今のKJくらいのことも知っている。
もしかしたら、ぼくが生まれてくる前のことや、独身時代の親父のことも。
父子二代にわたってコモリ家ができるのを、地面すれすれの位置から見ていたわけか。
そう考えるとすごいな君は。
我が家のアカシックレコードみたいだ。

40年間切れなかった君の靴紐のように、ぼくらは固い絆で、結ばれている。
…なんちゃって。
ここまできたら、息子に受け継いでほしいなぁ。
いつかぼくが大好きな君のかたちと履き心地をKJに引き渡すのは、あと15年くらい先になるかな。
それまで靴箱に閉じこもるのも体に悪いだろうから、ますます大切に、毎週履き続けるよ。
これからもずっとよろしくね。





